Webデザイン基礎入門

企画→デザイン(設計)→実装→テスト→公開→運用の6フェーズの定義と流れについて解説します。

1. プロジェクトの全体像:制作は「6つのフェーズ」で考える

Webサイト制作を成功させるために不可欠な、プロが実践する体系的な6つのフェーズを解説します。

フェーズ1: 企画・戦略

概要(何をやるか)

目的、ターゲット、コンセプト、競合分析の明確化。制作の軸を固める。

成果物(何が完成するか)

企画書、プロジェクト定義書

フェーズ2: 設計・構成

概要(何をやるか)

サイト全体の構造、情報の配置、動線を決定する。

成果物(何が完成するか)

サイトマップ、ワイヤーフレーム

フェーズ3: デザイン

概要(何をやるか)

設計に基づき、ビジュアル(色、写真、レイアウト)を形にする。

成果物(何が完成するか)

デザインカンプ(画像イメージ)

フェーズ4: 実装・開発

概要(何をやるか)

HTML/CSSなどでコーディングし、システムを組み込む。

成果物(何が完成するか)

Webサイトを表示する(動く)ためのデータ

フェーズ5: テスト・公開

概要(何をやるか)

動作確認、最終チェックを行い、本番サーバーに公開する。

成果物(何が完成するか)

完成した公開サイト

フェーズ6: 運用・改善

概要(何をやるか)

公開後、アクセス解析に基づき効果測定と改善を続ける。

成果物(何が完成するか)

分析レポート、改善施策案

2.各フェーズの役割と「必須」となる成果物

各フェーズで「なぜそれが必要なのか」という理由と、次のフェーズに進むために必要な具体的なアウトプットを解説します。

  • 企画・戦略の成果物:「プロジェクト定義書」
    • 重要性: ここがブレると、デザインも開発もすべて迷走する。
    • 解説: 目的(ゴール)とターゲット(ペルソナ)を明確に記述した文書。
  • 設計・構成の成果物:「ワイヤーフレーム」
    • 重要性: デザインに取り掛かる前に、情報の優先順位を整理する「設計図」。
    • 解説: どのページに、どの情報を、どの順番で配置するかを示したシンプルな図。
  • デザインの成果物:「デザインカンプ」
    • 重要性: サイトのビジュアル(色、トーン)を確認するための最終的な見本。
    • 解説: Adobe XDやFigmaなどで作成された、完成イメージを正確に再現した画像データ。

3. 制作の「手戻り」を防ぐための最重要ポイント

制作途中で「やっぱり違う」とならないために、初期段階で徹底すべきポイントを強調します。

  • 初期の「3つの確定事項」を固める:
    1. 目的とゴール: 「売上を前年比〇%アップ」など、具体的な数値目標を設定する。
    2. 予算と納期: 現実的な予算とスケジュールを確定し、関係者間で共有する。
    3. 技術選定: 使用するCMS(WordPressなど)やサーバー環境を企画段階で決める。
  • 関係者間の「認識の統一」:
    • クライアント、デザイナー、エンジニアなど、すべての関係者が**「何を、いつまでに、どう作るか」**という目標を明確に理解している状態を維持することの重要性。
    • 特にデザインの好みといった主観的な議論を避けるため、「トーン&マナー」を事前に言語化すること。

4. 制作の流れQ&A(よくある質問)

  1. Q. どこから手を付ければ良いですか?
    • A. 第2章で学ぶ「目的設定」と「ターゲット設定」です。ここがWeb制作のスタート地点です。
  2. Q. デザインとコーディングはどちらを先に学びますか?
    • A. まずは「Webデザインの考え方(情報の整理)」を学ぶのが効率的です。見た目より先に、情報をどう整理するかを考えるスキルが重要です。
  3. Q. プロジェクトが遅延しやすいフェーズはどこですか?
    • A. ほとんどが企画・戦略フェーズテストフェーズです。企画が甘いと途中で変更が多発し、テスト不足は公開後のトラブルにつながります。