はじめに:AIツールはあなたの「作業を減らす相棒」
先週(第1週)は、AI時代に私たちが何を大切にすべきか、その考え方を整理しました。
今週からは、いよいよ具体的なAIツールの話に入ります。「どのツールを使えばいいの?」「自分の仕事にどう役立つの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
AIツールは、あなたの仕事を奪うものではなく、「単純作業を代わりにこなしてくれる賢い相棒」です。
今回は、Web制作の現場で実際に役立ち、すぐに試せる主要なAIツールを、「デザイナー向け」と「コーダー(エンジニア)向け」に分けてご紹介します。ツールごとの得意なこと、苦手なことを理解し、効率アップの第一歩を踏み出しましょう。
1. 【デザイナー向け】ビジュアル制作とアイデア出しを加速するAIツール
デザイナーの仕事は「インスピレーション」と「アウトプットの多様性」が重要です。AIは、この両方を強力にサポートしてくれます。
| ツール名 | 得意なことと活用例 | 役割(AIに任せる部分) |
| Midjourney / Adobe Firefly | 画像・ビジュアル生成、素材の用意。 雰囲気の合うストック画像がないとき、具体的なイメージをプロンプトで生成し、ラフ案の質を高めます。 | アイデアの可視化、素材探し、背景の生成。 |
| Figma AI (FigJam AIなど) | アイデアの整理、文章の要約。 チームメンバーとのブレスト結果を瞬時に整理したり、ユーザーレビューのテキストを要約したりする。 | ブレストの補助、情報の構造化。 |
| Gannar(旧:Remove.bgなど) | 画像編集の自動化。 商品写真の背景を瞬時に切り抜いたり、画像のサイズを Web用にまとめて調整したりする。 | 単純な編集作業、切り抜き。 |
| ChatGPT / Gemini | キャッチコピーの案出し、ペルソナ設定の補助。 ターゲット層に響くコピーのパターンを短時間で大量に作成。デザイン意図を言語化する。 | 言語化、企画の補助。 |
デザイナー活用イメージのヒント
「ビジュアルのバリエーション出し」はAIに任せましょう。たとえば、「高級感のある化粧品サイトのヒーローイメージ案を5パターン作って」と指示を出し、出てきたアイデアから人間が「どれが最もクライアントの戦略に合うか」を判断する、という使い方が主流になります。
2. 【コーダー・エンジニア向け】実装のスピードと品質を高めるAIツール
コーダーの仕事では「時間のかかる定型コードの記述」や「バグの原因究明」にAIの力が役立ちます。AIは、あなたの代わりに「手を動かしてコードを書く」ことで、開発スピードを大幅に向上させます。
| ツール名 | 得意なことと活用例 | 役割(AIに任せる部分) |
| GitHub Copilot / Amazon CodeWhisperer | コードの補完と提案。 エディタ上で次に書くべきコードや関数を予測して提案。特に定型的な処理や繰り返し作業で威力を発揮。 | コードの記述、関数名の提案。 |
| ChatGPT / Gemini | デバッグ、リファクタリング、技術調査。 エラーコードを貼り付ければ原因と修正案を教えてくれる。新しい技術やフレームワークのサンプルコードを即座に生成する。 | デバッグ補助、技術的な質問応答。 |
| Vercel AI SDK | WebアプリケーションへのAI機能組み込み。 サイト内にチャット機能や検索補助など、AIを使った機能を比較的容易に実装するための開発キット。 | AI機能の実装、API連携。 |
コーダー活用イメージのヒント
「ゼロからコードを書く時間」を極限まで減らすことが目標です。特に、環境構築やAPI連携のためのボイラープレート(定型文)の生成はAIに任せましょう。あなたは、システム全体の構造設計や、複雑なロジックの実装といった「設計」と「判断」に時間を使うことができます。
3. Web制作の核となる「汎用型AI」
デザイナー・コーダーの両方が活用し、プロジェクト全体の効率を上げるのが「汎用型AI」です。
汎用型AIの代表格:ChatGPT / Gemini
これらのAIは、単なる文章作成ツールではありません。Web制作においては、以下のような幅広い役割を担います。
- 仕様の明確化: クライアントからの曖昧な要望を整理し、開発・デザインに必要な具体的な仕様書案を作成する。
- 学習と調査: 新しい技術やフレームワークの使い方を、短い時間で基礎から学ぶための講師役。
- プロンプトの調整: 他の専門AI(画像生成AIなど)へ指示を出すための、最適な文章構成を考えるサポート役。
大切なこと: これらの汎用型AIこそが、連載全体を通して学ぶ「プロンプトエンジニアリング」の主戦場になります。AIを「質問箱」ではなく、「思考のパートナー」として活用できるようになりましょう。
次のステップ:AIの得意・苦手を知る
今週は、皆さんがすぐに試せる主要なAIツールとその役割を紹介しました。
来週は、これらのAIツールが「何を得意とし、何を苦手としているのか」をさらに深掘りします。AIに任せるべき部分と、クリエイターとしてあなたが力を入れるべき領域が明確になり、仕事の優先順位がつけやすくなります。
来週のテーマ: